学生インタビュー

スーパーカブでどこまでも遠くへ

スーパーカブでどこまでも遠くへ

Y.Aさん

Personal Data

在籍学科

心理学科

出身高校

大阪府 浪速高等学校

憧れの人物

お父さん

よく遊ぶ場所

銭湯

おすすめの映画、テレビ番組

ゴールデンスランバー、月曜から夜ふかし

好きなブランド

mont-bell、ユニクロ

アルバイトの職種

パン屋

1ヵ月のバイト代

4万円くらい

違う場所に違う乗り物で巡る挑戦は、
また新しい発見につながりそうなワクワク感があります。

バイクを好きになったきっかけは?

実は、それほど好きじゃなかったんです。バイクは危険な乗り物という先入観があったし、ヘルメットやグローブを着用する手間が面倒くさそうとか、そういったネガティブなイメージでしたね。当然、乗りたいなんて意識はまったくなかったです。どちらかというと、クルマの方に興味がありました。幼稚園の頃から、絵本代わりにクルマのパンフレットを見たり、父にクルマのショールームに連れていってもらったりして。高校生までは、好きな乗り物はクルマという感覚でしたね。

それが、どうしてバイク好きになったんですか?

大学に合格して通学手段を何にしようと考えたことがきっかけです。僕の自宅から大学までは、阪和線、泉北高速鉄道、バスと乗り継いで、片道1,000円はかかるんです。親にあまり負担をかけたくないし、他の通学手段を考えた時の選択肢が原付バイクでした。クルマ通学は禁止なので、仕方なくという消去法。だから、とりあえず安いバイクでいいかなと探していたら、お父さんがカブというバイクを薦めてくれたんです。燃費もいいし、壊れない。何より、ギアの操作が楽しいと言われて。その話を聞いて興味が湧き、ちょうどマニュアルの運転免許を取ったこともあり、スーパーカブを購入することに決めました。実際に、乗ってみると、想像以上に面白くて。バイクの運転はもちろん、簡単に遠くまで行けるのがうれしくて。今まで移動手段が自転車と電車だけで、行動範囲が限られていただけに、バイクでもっと遠くへ、知らなかった場所へ行ってみたいと思うようになりましたね。

スーパーカブで西日本一周に挑戦したそうですね。

最初は日本一周したいと考えていたんです。ちょうど、バイクで日本一周した人のTwitterや動画などを見る機会があって、「バイクでもできるんや!」と感じて。学生のうちなら時間もあるし、やるなら今しかないと思い、昨年の11月ぐらいから計画を立て始めました。春休みに入る2月に出発することを決めたんですが、日数や所持金などを考えると日本一周は難しいと判断し、まずは西日本制覇を目標に切り替えました。出発までの3か月間に、天王寺やなんば、少し遠くで和歌山、さらには近畿圏と、バイクでの行動範囲を少しずつ広げていきました。同時に、テントや寝袋などの道具を買い揃えて、旅のルートを計画して。大阪の南港からフェリーで四国に向かい、そのまま九州へ向かうという全24日間のルートに決めました。

出発前の心境はどんな感じでしたか?

郊外へ出るのは初めてだったこともあり、大阪を出発した時は、不安しかなかったですね。前半は、「できるだけ早く移動しないと」「もっと頑張らないと」という焦りがあったんです。でも、九州に入ってからは、「そこまで急ぐ必要もないな」と思うようになり、自分のペースを計りながらゆっくり回ることにしました。気に入った街に2~3日滞在するようになったのも、この頃からです。後半はすっかり旅に慣れてしまって、前日のギリギリまで宿を決めなかったり、宿がなければその辺の公園で寝ればいいやと思ったり、そんな心の余裕も生まれていましたね。

旅先で印象に残ったことはありますか?

やっぱり、人との出会いですね。ゲストハウスに泊まると、中国人や韓国人、アメリカ人、ロシア人など、さまざまな外国人が泊まっていて、日本人の方が圧倒的に少ないんですよ。それだけに、泊まる先々では、今までに経験したことのなかったようなたくさんの交流がありました。言葉はほとんどわからなかったんですけど、ボディランゲージやスマホの翻訳アプリなどを駆使したり。旅という共通目的があれば、コミュニケーションってどんな方法でも取れるんだって感じましたね。特に仲良くなったのが、別府のゲストハウスで出会ったオーストラリアの大学生トーマス。別府は温泉や街の風情が気に入り、4日間滞在していましたが、ほとんど行動を共にしていました。僕が英語が苦手なことも知られていたので、ゲストハウスに滞在した外国人客との会話では通訳を買って出てくれたりもしました。その時、英語をもっとしっかり習得しておけばよかったなと反省しましたね。大学での授業は、こういう時のためにあるんだな、と。その後もトーマスとは交流が続いていて、4月には大阪に来てくれて街を案内しました。旅で得たとても大切な財産です。

旅先で初対面の人たちと話したり接することに、抵抗はなかったのですか?

元々、人と話すのは結構好きでした。祖父が銭湯をやっていたので、近所に住んでいる年配の方がよく来られるんですよね。小さい頃からその銭湯で番台をやったり、遊び場のひとつでもあったので、知らない人と話すことには慣れていたと思います。高校からは接客のアルバイトをいくつか経験していますが、自分と異なる世代の人たちと話すことは面白いなと感じています。そういった環境で育ったこともあって、旅先でも初対面の人と会話するのに、抵抗はほとんどなかったですね。

旅先で苦労したことはありますか?

四国で1日だけキャンプ泊した時です。最初は、海を見ながら泊れたらいいなというぐらいの軽い気持ちで海沿いにテントを張っていたんですよ。でも、想像を超える寒さで、結局、その日はまったく眠れなかったんです。靴を履こうと思ったら、靴さえも冷えてカチコチで。冬にキャンプ泊は無謀だったと気付きました。ほかにも、細道で軽トラックにぶつかって来られたこともありました。幸い怪我はなかったんですけど、バイクを修理に出さないといけなくなって。修理してもらっていた日は一日中、四万十川の沈下橋を観光していました。

西日本一周を終えた感想を聞かせてください。

結論から言えば、やってよかったです。帰ってきた直後ぐらいは、実はそこまでの実感がなかったんですよ。旅行中は一瞬のように過ぎていったので、旅を噛みしめている余裕もなかったんです。でも、帰ってきて荷物を片付けて、1~2週間が過ぎたあたりから、「結構すごいことをしていたんじゃないか」と、じわじわ感じるようになりましたね。今、こうやって話をしていても、「バイクで西日本一周したんだな」と、浸っている自分がいます。普段の生活では、お金に対する感覚が変わりました。特に、食生活へのお金の使い方ですね。今までは安ければ何でもいいやというところがあって、自分の好きなものばかり食べていたんですけど、旅行中はしっかり食べないと体調を崩したり、次の日の移動に影響が出てしまったりと、旅を続けられなくなります。例えば、お肉が続いたから、明日は魚や野菜を食べようとか、栄養バランスを考えて食べるようになりました。食と健康が密接にかかわっていることを、身をもって感じたんです。それ以降は、自分に必要なところはお金をかけて、そうでないところは引き締めるという、お金の使い方のメリハリがつけられるようになったと思います。また、心理学科の先生たちは、実は昔バイクに乗って旅をしたという方が結構多くて、バイクで西日本を一周したという話をすると意気投合したりして面白いです。「昔、あそこへ行った」などといろんな話が聞けて、授業以外での先生とのコミュニケーションも深まりますし、自分自身の冒険欲もさらにかき立てられますね。

今後、挑戦してみたいことはありますか?

大学生の間に日本一周は達成したいです。次の計画は、バイクじゃなくて、レンタカーでの北海道一周。違う場所に違う乗り物での挑戦は、また新しい発見につながりそうなワクワク感があります。次の春休みに実現できたらと思っていて、資金集めのためにアルバイトをかけ持ちしたりしています。

大学を卒業してからは、博物館に関わる仕事ができたらいいなと思っています。もともと博物館巡りが趣味のひとつで、今回の旅でもいくつか博物館を訪れました。その夢も実現させたいので、司書と博物館学芸員を取得できる科目を履修しています。日本一周と資格取得が、当面の目標です。