専門実践教育訓練給付制度厚生労働大臣指定講座となりました。
近年、わが国では犯罪の低年齢化、青少年による凶悪事件の頻発や性犯罪の増加、事故・災害の多発による心のケアの必要性、自殺者の増加など、現代人の心をめぐる問題はますます増大し、また複雑かつ深刻化しています。こうした社会状況の中で、高度な専門的知識と実践力を有する心の専門家の育成がますます強く要請されています。同時に、地域住民に対する、臨床心理分野における高度専門職業人養成の必要性も強く求められています。こうした背景を受けて、本学人間科学研究科では臨床心理学専攻の専門職大学院課程を開設し、実践力を有する真の心の専門家の育成を目指しています。
本研究科は以下のアドミッションポリシーに基づき、入学者選抜を行っています。
即戦力人材育成のための豊富な現場実習時間が特徴です。専門知識を習得する演習科目と実習科目において、全50単位を修得すれば、臨床心理修士(専門職)の学位を取得することが可能。2年間、平均540時間におよぶ学外実習と平均5ケースの学内実習を行います。また、修士論文の代わりに、2年間の学習経験を踏まえた「事例研究総括レポート」を提出します。なお、専門職大学院の修了者は、臨床心理士資格認定試験において、論文記述試験を免除されます。
実践活動の指導は、経験豊富な実務家教員が担当し、適切かつ多面的なコメントおよび指導を行います。また、グループケースカンファレンスやスーパーヴィジョンなどにおいても、きめ細やかな指導体制を取り、よりよい臨床実践体験を得ることができます。
実習機関である教育・福祉機関における他(多)職種専門家と、本学教員との事例検討会に参加。また、各機関と本学附属心理教育相談センターとの積極的な連携により、守秘義務を守りながら地域連携・他(多)職種連携の実際について学ぶことができます。
心のトラブルに悩む人がかつてないほど増加しています。そうした人たちのためには、医療的アプローチに加え、心理に関する高度な知識とスキルをもった専門家によるケアが求められています。その役割を果たすのが、臨床心理士・公認心理師であり、本学が育成をめざす人材です。
臨床心理分野の専門職学位課程は、従来の大学院の修士課程以上に、「職業人」としての臨床心理士・公認心理師の育成に焦点を当てたものとなります。在学中からカウンセリングの実践体験を数多く積むことにより、職業人としてのスキルや知識を効果的に身につけられる体制を整えています。
実地訓練の場としては、一般市民の方の利用が年間約1,400件以上ある、併設の本学大学院附属心理教育相談センターを活用します。学生は自分の担当クライエントを持ち、実際のカウンセリングスキルを磨いていきます。さらに、教員やクラスメイトとのディスカッション、理論を習得するための講義など、2年間のカリキュラムは非常に中身の濃いものになっています。学ぶことが非常に多く、正直なところ勉強は大変かもしれません。しかし、それだけ臨床心理士・公認心理師に対する社会からのニーズは大きいものであり、いち早い独り立ちを期待されているのです。
専門職学位課程は、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とする。臨床心理学専攻は、高度な専門的知識と技能を身につけ、多くの心理臨床経験を積むことによりあらゆる臨床心理現場に即応しうる高度の心の専門家(臨床心理士・公認心理師)を養成する。この教育研究上の目的をふまえ、次のとおり人材育成の目標を定めている。
本学臨床心理学専攻の教育課程は、心理臨床領域を中心とする講義科目、実践的教育を行う演習科目、実習科目により編成されている。特に、演習科目、実習科目については、以下のとおりである。
教育課程は、臨床心理学の全体像をわれわれのめざす心の実践科学の実態を広く理解できるように、「演習」と「実習」科目を置き、実践的な技能の基礎的な学習を行う「臨床心理学基幹科目」(必修20単位)、基幹科目の履修を前提にその具体的実践化が展開される「臨床心理学展開科目」(必修20単位)、高度専門職業人(臨床心理士・公認心理師)が身につけなければならない専門技法とその熟達、理論化に資するための科目「臨床心理学選択科目(特修科目を含む)」(選択必修10単位)の3群にわけて、臨床心理士・公認心理師としての実務に必要な専門的技術・手法を養成する。
実践的な技能の基礎的な学習と本学大学院附属心理教育相談センターでの個別面接を通じて実践的知識と心理臨床的かかわり能力の育成を図る。(必修科目10科目20単位)
実務家教員も積極的にかかわり、実践現場で行われるさまざまな援助活動を体験学習する。さらに事例研究、スーパーヴァイズを通した面接技能の向上を図る。(必修科目11科目20単位)
汎用的な心理臨床活動の基礎的な専門技法や独自理論などの特論科目を選択し、専門技法とその熟達を図る。(特修科目を含む。5科目10単位を選択)
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の「臨床心理士資格審査規程」に「学校教育法に基づく大学院において、臨床心理学又はそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職学位課程を修了した者」と規定されており、本学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻(専門職学位課程)修了することで、臨床心理士資格認定試験の受験資格を取得することができます。
公認心理師の資格を取得するためには、一般財団法人日本心理研修センターが実施する公認心理師試験に合格する必要があります。本専攻において、履修規程に定められた科目を修得することで、公認心理師試験受験資格を取得することができます。(ただし、大学院入学前に4年制大学において法令で定める科目を修得している必要があります。)
(受験年度)
平成29年度 | 64% (全国平均 : 65.5%) | 平成30年度 | 71% (全国平均 : 63.6%) |
---|---|---|---|
平成31年度・令和元年度 | 100% (全国平均 : 62.7%) | 令和2年度 | 83% (全国平均 : 64.2%) |
令和3年度 | 65% (全国平均 : 65.4%) | 令和4年度 | 88% (全国平均 : 64.8%) |
カウンセリングルーム4室、遊戯療法室3室、カンファレンスルーム2室を置き、相談活動を行っています。地域サービスとして市民の方にカウンセリングを行っており、学生の実践訓練の場でもあります。学生は専門職学位課程の1年の秋学期から心理教育相談センターで実践に入ります。それまでの半年は、実務家教員を含む専任スタッフが指導にあたり、講義や演習、ロールプレイング実習などの基礎訓練を行います。2023年7月には、カウンセリングルームを5室、遊戯療法室を5室に改修予定です。
帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理学専攻は、令和3年度に臨床心理分野専門職大学院の認証評価を受審し、令和4年3月、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が定める臨床心理士養成のための大学院専門職学位課程の評価基準に適合しているとして適格認定証が交付されました。
認証評価結果は以下のとおりです。